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映画に点数つけたり考えてみたり

スティーヴン・スピルバーグ インディジョーンズ魔宮の伝説 100点!!

インディジョーンズ 魔宮の伝説

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(あらすじ)

スティーブン・スピルバーグ監督、ジョージ・ルーカス原案&製作総指揮、ハリソン・フォード主演によるアドベンチャー映画の金字塔「インディ・ジョーンズ」のシリーズ第2作。前作より1年前の1935年。上海のナイトクラブでマフィアとトラブルになったインディは、クラブの歌姫ウィリーと現地の少年ショーティを連れて逃亡するが、飛行機が墜落しインドの山奥に不時着してしまう。寂れた村に辿り着いた彼らは、この村の子どもたちが邪教集団にさらわれ、村の秘宝「サンカラストーン」も奪われたことを知る。奪還を依頼されたインディたちは、邪教集団の根城であるパンコット宮殿へと向かう。第57回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞。(映画comより引用)

 

 

魔宮の伝説!100点です!最高ですよね、これは自分が映画好きになったきっかけである作品の一つなので、非常に感慨深いです。

映画好きになった中学生の頃に何度も何度も見て、完全に覚えてしまいました。

 この映画との出会いは、小学校低学年の頃、親が某レンタルショップで魔宮の伝説レンタルし、それを横目で見てました。その内容の暗いこと暗いこと。途中心臓鷲掴みがあったと思えば、そいつが何やら溶岩に生贄として沈んでゆく。それからヒーローであるインディアナジョーンズ博士が洗脳?され、頼みの綱が途切れる。そこからなんとか抜け出すも、何やらローラーに巻き込まれ潰れる人間が出てくるなど。当時の自分には刺激が強く、ハッキリ言ってトラウマものでした笑 その後にレイダースや最後の聖戦を見る機会があり、インディシリーズってのは明るく楽しいシリーズなんだなと認識しましたが、明らかに魔宮の伝説だけ暗すぎるってのは、今でも思います笑。これはインタビューで制作総指揮のジョージルーカスが言っていますが、インディシリーズは三作品作ることを先に決めていたので、二作目は「帝国の逆襲」宜しく暗いものにしたかったのだそう。「帝国の逆襲」は話が繋がっている中での中盤の話だから暗くなるのは分かるのですが、一話完結のインディでそれやる必要あったのかとも思いますが笑

 

冒頭から、息もつかせぬ見せ場の連続

 この作品、他の3作品と比べて明らかに吐出しているのは、アクションシーンの密度、スピード感。映画で描かれるアクションの密度といったら、「マッドマックス 怒りのデスロード」と匹敵するあるいは超えているんじゃないかと思わせる。「怒りのデスロード」では、一つのチェイスがひと段落すると人間ドラマが入り、ストーリーを進める、という形をとり、「チェイスアクション、ストーリー」の塊を4つに分けて構成されている。この4つの塊を大きな目で見ると一つの大きな追いかけっことして見ることができるのと同時に、チェイスアクション中にストーリーが進行したりするので常に見せ場としての緊迫感はありますが、緩急もしっかりついている、教科書のような映画です。

 それに比べ、「魔宮の伝説」のアクションは本当に「連なっている、連続性」という表現が相応しい、休憩のない見せ場を作り出しております。この映画、物語が始まって早々に中国マフィアとの取引シーンに始まり、毒を飲まされてからドタバタコメディのようなアクションになったと思えば休むことなくキーホイクァンが現れ、カーチェイスに移行。銃撃戦を交えながら飛行機に乗り込み、レイダースマーチが壮大に流れる。ひと段落ついたかと思えば飛行機のパイロットがマフィアとのグルだったことがわかり、乗り物パニックのような見せ場となる。さらにインディら三人はそこからボートを使って脱出し、一気に川下りする。ここまで20分。見せ場が次々に変わるのに、間の休憩がない。見ている側も体力を使うのと同時に映画にライドする形で乗れてくるのではないだろうか。

 

映画の本題、ストーリー説明と束の間の休憩

 ここから先は、映画の本筋に入っていく。正直、先程まで行われていた中国からの脱出アクションは本筋とはほとんど関係なく、インディ一行をインドに着陸させるための前座だったのだ!007シリーズのアバンタイトルのように、冒頭で一つカマすのはある一種のオマージュなのだろうが、こんなにも本筋と関係ないとある意味びっくりする。これは批判される点ではなく、007譲りのストーリーの軽さとして捉えることで、この映画を鑑賞するにあたっての正しい態度を整理することができる(まあ初見で見てる間は気づかないんだけどね)。

 一行がインドに入ってから、次のアクションシーン、邪教信者に襲われるシーンまでは約40分あるのだが、この映画は後半1時間アクションシーンしかないので、実質はこの40分でストーリーの大幅なことは語り切ることになる。アクションがないと聞くと退屈かもしれないが、虫を食べたり、象が出てきたり、蛇が出てきたり、虫を食べたり猿の脳を食べたりと、楽しいシーンが満載である。特に好きなシーンは、パンコット宮殿に入る前、インディがある像を発見するシーン。何十回とこの映画を見ている私でもあのシーンはよく分からないのだが、(あれはカーリーの像なんスかね?)スピルバーグお得意のハリソンフォード額ズームシーンが迫力あったり、裏で民族楽器みたいのがドコドコドコと響いて怖かったり、インド人が逃げて行ったりと、なんとも不気味なシーンに仕上がっている。あそこにいたインド人はなんなんですかね笑 像に向かって何か言ってましたけど。誰かわかる人いたら教えて下さい〜

 インディ一行が向かったパンコット宮殿では、何やら残虐な宗教が生き残っており、村から子供を連れ去って石探しをさせられているので、村から盗まれた石と子供を取り返しにいく。これがストーリーですね。 ストーリーだけで言うと三行ですが、やはりこういう映画を見て、映画はストーリーだけではないと思い知らされます。

 

ラスト1時間!駆け抜けるようにエンディングにゴール!

 無事にパンコット宮殿に忍び込み、ハリソンフォードとケイトキャプショーがいい感じになろうとしたのも束の間、何やら宮殿にいた奴にハリソンフォードが襲われます。調べたところによると、サギー教なるカーリーを信仰する宗教では殺人が義務化されており、カーリーに血を捧げるため赤い布のようなもので首を絞めて窒息死させていたそう。恐ろしい!そこでの敵の倒し方もなかなかなものがあるのですが、ここまでは序章、一気にクライマックスへ向かっていきます。

  この敵の存在から止まっている部屋の隠してある道?を見つけ、ショートラウンドとインディは その道を進んでいきます。なぜそんな不気味な場所にズカズカ入っていくのかは分かりませんが、ワクワクしますよね。

  道中フォーチュンクッキーのような音が鳴る大量の虫を踏みつけながらたどり着いた部屋はまさに死の部屋❗️閉じ込められたと思ったら、天井がズンズンと下がってきます!このままではペシャンコです!ここでの仕掛け自体も面白いのですが、音楽のテンションの高さとケイトキャプショーのコミカルさが相まって楽しいシーンになっています。ちなみにこの押しつぶされそうになる仕掛け、スターウォーズ1作目のデススター内部の焼却炉オマージュ的な感じでしょうか。そういえばあっちにもハリソンフォードいましたよね。この仕掛けを止めるには外側からレバーを引かなければならないんですが、そこには大量の虫が笑。そして、中では本当に天井が下がってきているのかよく分からないという絶望感笑。自分がケイトキャプショーの立場だったら申し訳ないけど見捨てちゃうかもです💧

 

  そこから先は、邪神を崇めているサギー教による生贄のシーンになります。ギョッとしたのは、モララムが生贄の心臓を取り出したあと、胸の肉がギュルギュルと戻っていくシーン笑。そしてまだ生きているという笑。気持ちが悪い!そのまま圧巻の溶岩落としにより、インディ一行も観客も悶絶することになるのです(楽しい)。

  ちなみにこのシーンで祀られている巨大なカーリーの偶像の腰には大量の人間の腕が付いているんですよね。あまりのグロテスクゆえなのかしっかりと映らないので、DVDを持っている方は一時停止を用いてよく見てくださいね!

 

  その後インディ一行は敵に見つかり、捕らえられてしまいます(こんな激ヤバな場所なんだからもっと警戒しなさいよ博士笑)。インディ博士、どうやら鉱山で働かされている子供達をみて我を忘れてしまったようです。インディは殺される訳ではなく、カーリーの血を飲まされ洗脳されることに。ここのシーンがやたらと怖い!血を飲んで悶え苦しんでいるインディが静かになったと思えば、ほぼ暗闇と言える影から顔をぬっと出し、ケラケラと笑い始める。ここは物語上の絶望感と相まって、完全にホラーの領域ですよね。

  さらに、ショートラウンドは子供と一緒に鞭打たれながら働かされ、ケイトキャプショーはさっきみたいに生贄にされることに。ここでの生贄は心臓を取る訳ではなく、洗脳されたインディに手枷をはめさせてました。なぜかは分からないですが、何かしら生贄に絶望感を与えると効力が増すのでしょうか。

 ショートラウンド、ツルハシを使って足の拘束を解き、救出に向かいます!ここで追いかけてくる敵さんのマヌケっぷり時たら面白いのですが、この映画で初めて希望が見え始めるシーン!一気に映画がドライブして行きます。ちなみにこのシーン辺りで、「洗脳されてる大人の人が溶岩に足を付けると洗脳が解けるのをショートラウンドが目撃する」というシーンがカットされたものとしてあったみたい。これが伏線になるのですがカットされたので、後にインディが火を当てられ洗脳が解けるのが唐突に見えます。まぁこんなシーン追加したら「いや、洗脳解けた大人さん、何とかしなさいよ」となるので消して正解だとは思いますが。

そこから何やかんやあって洗脳解けたインディとショートラウンドで敵を倒していき、ケイトキャプショーを救出します。「あんな溶岩の近くまで行ったら普通に即死では?てかさっきの生贄で人間大炎上してた部分まで降りてるのに大丈夫なんだ!」なんてくだらないツッコミはナシにして、アクションを楽しみます。結構好きなのは、インディが戦っている後ろでショートラウンドが松明持って戦っているところ。なんか子供に負けてる大人を見ると面白いです。

 

  洗脳が解けたインディは、サンカラストーンを奪い、子供達を解放します。ここのシーンから様々なアクションが連続的に起こります。アクション自体も楽しいのですが、ぜひ音楽にも注目して楽しんでみてください。ここから鳴りっぱなしです笑 アクションごとに違った音楽を使いながら

、ずっとテンションを上げてくる。ジョン・ウィリアムズ、かなりいい仕事してます。

  子供を解放しながら戦うのは敵の中ボスみたいなやつ笑 。インディシリーズでは毎回中ボスと戦うのですが(レイダースの飛行機に切り刻まてた人、最後の聖戦では戦車の人、クリスタルスカルではアリに食われた人)、その倒し方を相まって大きな見せ場になっております。この魔球の伝説においては髭モジャのやつ!感覚が本物と共有される人形攻撃(何言っ点だって感じ)との連携プレーで、インディを苦しめます。そこからはショートラウンドが人形を操っている奴を倒し、なんとか形勢逆転するのですが、トドメのさしかかたがまあ酷い。石砕きローラーの中にズブズブと入っていきます笑。流石に可哀想と思ったのか、巻き込まれる直前でインディも彼を助けようとしますが時すでに遅し。ローラーに血がねっとりと笑。流石に子供の時これを見たらギョっとしますよね。多分これがやばくてPG12を作ったんじゃないかな? 

  インディがロープを使って上に行ったあとでのアクション。ここが個人的に最高に上がるシーンであります。色んなアイディアを凝らしながらアクションするのですが、ここでの音楽のテンションが異常なほど高いのです。レイダースマーチが鳴り響きます。

  

ここからはお待ちかねのトロッコアクション。敵に追われながら一気に駆け抜けていきます。ここも非常に楽しい!まさにジェットコースターアクションです。このシーンを見る時はアクションのアイディアの豊富さにぜひ酔ってください。「何かほかにアイディアある?」とスピルバーグに聞かれても、「流石にもうないですね」としか言いようがないです。流石は「激突」にて「トラックに追いかけられるだけ」のプロットで映画を作った監督 。圧巻です。

 

  トロッコが終着すると、モララム軍が放った大量の水が追いかけてきます。ここはレイダースに出てきた岩に追いかけられるシーンのオマージュなのでしょう。崖まで逃げ、なんとか難を逃れます。またこの後に剣の達人との戦いもあります。こちらもレイダースのオマージュですね。

 

 そこから先は吊り橋アクション。追い詰められたインディは吊り橋を切り、空中ブランコアクションになります。下は川なのですが、大量のワニが!落ちれば餌になってしまいます。ここでの最終決戦、ショートラウンドが「インディ!心臓を守れ!」と言ってからモララムが思い出したかのように心臓を取ろうとするのがなんともジワります。なんとか心臓を守りきったインディに好機、サンカラストーンを取り合う中、ストーンが燃えてモララムを川に落とします。イギリス軍の人も助けに来てめでたしめでたし。ついにエンディングであります。

 

インディガールについて

 インディシリーズではジェームズボンドばりに毎回インディガールが存在するのですが、魔宮の伝説に登場するケイトキャプショー演じるウィリーはシリーズを通しても軽めな存在。これは前作レイダースにおいて、レイダースのインディガールであるマリオンとの関係自体がインディの成長と繋がっているので、そこを台無しにしないための意図的な判断なのではないか。魔宮の伝説におけるウィリーとの関係がかなり軽い分、人間の成長物語としては他作品と比べてもやはり薄め。こういう映画に人間成長ドラマを過度に期待するのもそうかと思うが、シリーズを通してもかなり可哀想な立場になってしまったウィリーでありました。しかしケイトキャプショーはこの映画を通じてスピルバーグの嫁さんとなったことを考えると、インディとべったり行きすぎなかったのはむしろ意図的だったのかなと。

 

自分ならこうする!のコーナー

 この映画自分的には100点なので、自分の意見を今更いうのも野暮な話なんですけどね。

強いていうならば、ラスボスの倒し方でしょうか。インディシリーズではラスボスは、その人が追いかけていたオカルト現象からしっぺ返しをくらう、というのが定石でありますが(インディシリーズ4作品見た後だから言えることで、まだシリーズの定石なんてものは当時のなかったのでしょうが)、ワニに食われるのはちょっと普通かなと。吊り橋アクションは楽しいのですがね。できることならラストバトルの舞台をあの生贄の場所にセッティングして、あの溶岩に落として倒す、というのはどうでしょうか。背景にカーリー像を置きながらのタイマンは画としてかっこいいと思いますよ!

 

ということで、インディジョーンズ魔宮の伝説でした!個人的にはベストムービーの一つなので、映画の良さが広まることを願ってます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

M・ナイト・シャマラン「オールド」80点!! 

   オールド

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あらすじ)
人里離れた美しいビーチに、バカンスを過ごすためやってきた複数の家族。それぞれが楽しいひと時を過ごしていたが、そのうちのひとりの母親が、姿が見えなくなった息子を探しはじめた。ビーチにいるほかの家族にも、息子の行方を尋ねる母親。そんな彼女の前に、「僕はここにいるよ」と息子が姿を現す。しかし、6歳の少年だった息子は、少し目を離したすきに青年へと急成長していた。やがて彼らは、それぞれが急速に年老いていくことに気づく。ビーチにいた人々はすぐにその場を離れようとするが、なぜか意識を失ってしまうなど脱出することができず……。(映画.comより引用)

 

80点!!結構よかったですよ!

 1日で50年ほど過ぎ去ってしてしまう、というトンデモ設定の中で、あらゆる映像的見せ場、アイディアが凝らされていました一生が過ぎ去ってしまう恐怖、老化の気持ち悪さ演出が全開で、見る人によっては嫌悪感を抱く方もおられるかもしれませんが、この映画それだけでなく密室劇サスペンス要素であったりヒューマンドラマの要素がしっかり作られているので、意外と万人におすすめできるかと思います。しかし気まずシーンもあるので、親と行くのは微妙かも!!!

 

 この映画、設定に無理がありすぎる部分があるので結構批判されてる方もいるみたいですね。特に自分が気になったのは「人体内部の働きは急速で進むのに、妊婦さん、子供さん以外は特に空腹を訴えない」ところですかね。あと眠気とかはどうだ、とか色々考えたくなるんですが、映画のセリフでもあった、「髪や爪は死んだ細胞なのでこのビーチでは急成長しない」てのが多分理由なんでしょうね。

 空腹や眠気なんてのは死んだ細胞関係ないと思うので理由になってないですが、映画としてそんなこと一々描いていたら先に進まないので、つまりは「細かいことは気にするな」ってやつですな。TENETみたいなもんです。そういった意味では設定の無理矢理感はTENETの数倍マシですが。

 

 上でも書きましたが、この映画、老化や時間の経過というものに対する気色悪さを目一杯のアイディアで描いているのが非常に点高いです。特に凄まじいのが高速出産シーン笑。見ている間は文字通り開いた口が塞がらない状態で楽しみましたよ。

 このシーンで上手いのは、登場人物達が「このビーチでは時間が経つのが通常より早いのではないか?」と、いう構造に気づき始めている裏で、そんなことには気づいていない二人が事を成した、という点。「愛し合っている二人は、世界とは無縁である」というような、恋愛映画にありがちな要素としても面白いし、何しろ「成長しそれなりの年齢になった二人が本能のままに愛し合う」という、時間が経過する気持ち悪さと絡めた具合の悪さが最高です笑。

また、この新しく誕生したカップルの「好きなもの同士がくっついた純粋なカップル感」は「時間が経つにつれてゴタゴタになった主人公夫婦」との対比にもなっているんじゃないかと思いました。それゆえと言っていいか分かりませんが、この新しいカップルは割と散々な結末になるのですが笑笑

 

 それから先は、ロッククライミングサスペンス笑あり、骨変形ホラーシーンあり、老人同志のバトルシーンありと、舞台の構造を最大限まで活かした見せ場の連べ打ちで非常に楽しいです。個人的には予告編で見せすぎな気もしたので、周りの人に勧める時は予告なしで見てもらいましょう。

 

 さて、今回のシャマランお得意どんでん返しシーンですが、なるほど納得、腑に落ちたって感じです。シャマランも毎回毎回最後に物語をひっくり返すような仕掛けを作らなきゃいけない(少なくともファンはそれを求めている)ので大変ですよね。最後に何かあるのを分かられながら、その詳しい仕掛けについては劇中に分からせないように立ち回らなけばならない。

 今回の仕掛けについては、明らかに序盤から「何かありますよ〜」と、見せている点が面白いと感じました。「山の方から見られている?」ていうやつですね。「最後に何かあるのを分かられながら、その詳しい仕掛けについては劇中に分からせないように立ち回らなけばならない。」というメタ的な構造に真っ向勝負している感じがしますよね。こういう、メタ的な構造になっているからこそ、あそこで構えているのがシャマランだというのがいい意味を持ってきます。構造を見抜けなかった自分に対してのドヤ感が凄まじかったですね。

 振り返ってみると見事に伏線が貼られているのも見事でした。「明らかに具合の悪そうな人たちが集められている点」「ホテルには医療従事者が多かった点」「向こう側からビーチに行くように唆された点」

 あと、ルーファス・シーウェル扮する旦那が、映画「ミズーリ・ブレイク」を彷彿させるようなセリフを何度も繰り返していたこと。私自身「ミズーリ・ブレイク」は未見なのですが、要はミズーリブレイクとは「ミズーリ川が何十年もの間に無数の深い切り傷を加えてきた、モンタナ州中部の非常に起伏の激しい地域を示しているwikiより引用)」のだそう。これは、本作における描かれている「治験」というものは、「薬ができるまでに多くの人に傷を与える必要がある」というものである、という意味とリンクするのではないか。勘のいい人だったら「ミズーリブレイク」を連想したときに閃いてしまうのもなんですかね。兎にも角にも、私は勉強不足だったということで、「ミズーリブレイク」を鑑賞しておきたいと思います。

 

自分だったらこうする!のコーナー

 もしこの映画の監督とか脚本の人に、手直しを手伝うよう言われたらどうするか考えるよ!!イエーい!!

 

1子供だからこそ勝利する

 この映画、最終的にはトレントとマドックスがビーチから脱出し、ホテルの暗躍を警官に伝えることによって事件が収束するのですが、何かもう一声欲しかったなという印象。ビーチから抜け出す直前、サンドキャッスルを作りながら、マドックスは「大人になってもこういう風に子供心を忘れないものなのかしら?」と、まだ心は子供のままであることを仄めかすような発言をしている。つまり、彼らの心が子供のままであるからこそ「世間、お金のためとはいえ治験によって人を殺害する、大人の団体」を倒すという構図として見せることでよりカタルシスが得られるのではないかと感じた。案としては、序盤に子供達がテレビを見るシーンを挟み込み、(不自然にならないよう、夫婦喧嘩をしている裏など、シーンを工夫する)そこで流れている教養番組で、スーパーヒーローが何かと自分勝手な悪を懲らしめるシーンを入れ込む、など。ピンとは思いつかないが、「ホームアローン」のような、子供が大人に逆襲する映画を流しておくのも良い手なのではないかと思う。

 

2泳ぎかたはどこで習ったの

 トレントとマドックスがビーチから抜け出る際、泳いで脱出することになるのだが、6歳と11歳の子がなぜあんなに泳げるのかが不明である。年齢が経過しても、特に泳げるようになるわけではなく、せいぜい肺活量が少し上がる程度だろう。特にそのシーンにおいて、「息継ぎしないで泳切れるのか?」という、最後のサスペンス的な見せ場にもなる大事なシーンなので、せめて泳ぎが得意、という提示はしておいた方が良いだろう。案としては、序盤の海岸のシーンでトレントが姉貴に遠泳を申し込む、とかがいいのではないだろうか。少し不自然な気がしなくもないが、この姉弟、「当てもなくあらゆる人に職業を聞きまくる」という割と意味不明かつ不自然なことをしている(のちに伏線として語られるが)ので、泳ぎの申し込みくらい、キャラクター性格立てをかねて入れてやっても良いのではないか。

 

ぜひ私の案も頭の片隅に置きながら見てみて下さい〜